はじめに
音大に入学し、一人暮らしを始める上で問題となるのが家にピアノを置いたほうが良いのか、置かなくても大丈夫なのか、悩まれることが多いと思います。
ピアノ専攻として、音大生活を学部・大学院と計6年間続けてきて、実際に一人暮らしをするにあたって、自分の部屋にピアノはあったほうが良かったのか、周りはどうしていたのかについて、実体験に基づいた情報ですので、音大生、もしくはこれから音大生になる方で、一人暮らしを検討される方の参考になれば幸いです。
結論
殆どの場合、音大生の一人暮らしに、防音室やグランドピアノは必要ありません。
経済的に余裕がある場合は別ですが、無理をしてまで置く必要はないでしょう。
音大生の一人暮らしにピアノはいらない
学校で練習室が一杯で練習ができない、学校で練習室を借りるのは有料だから高すぎて、、、などと理由をつけて自分の部屋にグランドピアノを置きたいと主張する人は、大抵部屋においたところで、練習はしません。本当にピアノが弾きたくて、練習がしたい人は大体、朝早く学校に行き、夜遅くまでいます。もし、自分の部屋にピアノを置くにしても、電子ピアノで十分です。15万以上のものを買えば鍵盤のタッチも良いものが買えます。
譜読みを行うだけであれば、電子ピアノでも十分行うことができるので、もし、大学で練習室が十分に取れなかった場合でも、家での練習は譜読み、学校での練習は音作り、と決めて練習すれば十分である場合が多いです。
ピアノを置ける部屋を選んだほうがいい場合
経済的な余裕があるか、ないか。その一点につきます。
いくら電子ピアノが部屋にあるだけで十分と言っても、経済的に余裕があるのであれば、自分の部屋にグランドピアノがある方が良いに決まっています。
自分の部屋にピアノがあるメリット
・音出し可能の時間内であれば、誰にも邪魔されずに練習ができる。
・大学と自分の部屋で練習できるため、気分転換になる。
・自分の部屋で伴奏合わせができる
自分の部屋にピアノがないデメリット
・家賃が高い
・ピアノの搬送費が高い
・部屋がものすごく狭くなる
・部屋が狭いから友人をなかなか呼べない
・部屋にこもってしまう
アップライトピアノは駄目なの?
グランドピアノを置けないなら、アップライトピアノを置こうと考えている段階であれば、電子ピアノをお勧めします。アップライトピアノはそもそもグランドピアノとは別の楽器です。タッチが全く違います。楽器が縦か横かなんてレベルではなく、そもそもの作りから違いますし、音も全くの別物です。
一方、最近の電子ピアノは20万超えのものであれば、アップライトに比べ、タッチもグランドピアノに近く、音も良いものが多いです。(本物のグランドピアノにはもちろん劣ります。)15万以上のものであれば、間違いなくアップライトよりタッチも音もいいです。10万以下のものはキーボードと一緒で鍵盤も音も良くないので、最低10万以上をお勧めします。
それでも生のピアノの音がいい。という方は、アップライトにしましょう。結局練習できるかどうかはその人の気分の問題なので、電子ピアノでは気分が乗らないのであればアップライト のほうが良いでしょう。電子ピアノだろうが、アップライトピアノであろうが、グランドピアノの代わりにはなりませんし、譜読みを行うための道具としては十二分に機能してくれるはずです。
どのような基準できめるか
ピアノ専攻の音大生が一人暮らしを始めるにあたり、ピアノをどうするかという意味での選択肢は以下の5つでしょうか、
・グランドピアノを置く
・アップライトピアノを置く
・電子ピアノを置く
・キーボードで済ませる
・なにも置かない
どの選択肢を選ぶかは人それぞれですが、選ぶ基準として、メリットとデメリットを簡単にまとめます。
グランドピアノを置く
メリット
- 借りる部屋にもよるがいつでも練習可能
- 自宅で音作りの練習ができる
- 譜読みの時点から、音づくりをすることができる
- グランドピアノの譜面台に慣れることができる
- 自宅で伴奏合わせができる
デメリット
- 防音でピアノ可の物件を選ばなければいけないため、家賃が高い
- ピアノの搬送が面倒
- 調律費が定期的にかかる
- どのような人が選ぶか
- 経済的に余裕のある方
アップライトピアノを置く
どのような人が選ぶか
グランドピアノを置けるような部屋は借りれないが、生のピアノで練習がしたい方
メリット
- ピアノの生の音を聞きながら譜読みができる
- 良いアップライトピアノであれば、いい音で練習ができる。
- 借りる部屋にもよるがいつでも練習可能
デメリット
- グランドピアノとは鍵盤の構造が違うため、グランドピアノの代わりにはなれない
- 譜読みは行えるが、グランドピアノで音作りをする必要がある。
電子ピアノを置く
どのような人が選ぶか
あまり費用をかけずに、時間を気にせず練習がしたい方。
メリット
- 24時間練習可能。(ヘッドホンがつかえるため)
- いい電子ピアノであれば、タッチや音がグランドピアノに近い。
調律費などがかからない
デメリット
- 選ぶ電子ピアノによって、ホールを意識した音や、練習室を意識したもの、ホールでの奏者に聞こえる音を意識したものなど様々であるため、どの音を意識して作られたのか意識して練習する必要がある。
- 強く鍵盤を押しすぎても音が割れないなど、音に関して多少調整が入っているため、実際にグランドピアノで引いたときに自分の下手さに驚く。
キーボードで済ませる
どのような人が選ぶか
ジャズやポップスなどをやっている方が持ち運びのキーボードを選ぶ傾向があります
メリット
- 鍵盤の持ち運びが容易
デメリット
- 物によっては鍵盤数が足りないなどストレスを覚える
なにも置かない
どのような人が選ぶか
お金がない方。寮生でそもそも置く必要がない方など。
メリット
- 学校に行かざる負えないため、学校に行けばやる気のある人の影響を受けて練習の鬼になれるかも。
デメリット
- 意志の弱い方は本当に練習しない可能性が高いです。
まとめ
最終的にどのピアノを置くかは、経済的にどれくらい余裕があるかの一点に尽きるでしょう。
経済的に余裕があるのであれば、グランドピアノを置く。
そうでなければ電子ピアノ。
グランドを買うほど経済的に余裕はないけれど、ピアノの生の音が好きな方はアップライトピアノ。
ジャズやポップスをやっている方はキーボードがあっても良い。
何も置かない場合は、朝6時に学校へ行き、22時まで残るくらいの覚悟を決めて音大生活を過ごす。
という感じで決めてみてはいかがでしょうか。
大学生活での一人暮らしは、とても楽しいものですが、その部屋は遊び場なだけではなく、自分の勉強の場でもあります。自分が快適に練習できる環境を整えるためにも、楽器選びは自分の納得の行くように慎重に選びましょう。